ハギギ工房は19世紀末からのイスファハン絨毯復興期に大きな役割を果たした工房です。
1891年頃、メヘンディーハーンハギギにより再開した工房は、時のイスファハン総督であるゼッロソルターニー王子の全身肖像絨毯の注文をきっかけに、高い評価を得ることができ、より高度な技術とより良い素材の獲得に励みました。
その後フランス政府関係からの要請で、ペルシア絨毯の現地生産体制の確立に協力し、イスファハンの絨毯づくりは徐々に活気を呈すようになったのです。
ウールの中でも最も柔らかく、細番手が紡績出来るコルク糸を用い、イスラム文化の粋たる、モスクや風景を絵画の様に織り上げた至宝の絶品。
イスファハン産地の F. ハギギ工房は元来絵画柄を得意とするタブリーズ産地とは異なりイスファハン産地で細い紡績糸を用い緻密で繊細な絵画絨毯を発展させた第一人者で、コレクターの間で人気の高い高級、稀有のペルシャ絨毯です。
メヘディーハーンには6人の息子がいましたが、4男のフェイゾッラー ハギギは素晴らしい芸術的環境に恵まれて育ち、絨毯の勉学はもちろん、細密画や美術専門学校にても技術に磨きをかけ、建造物を模写した精緻なビクトリアル絨毯をはじめ、タイルに描かれたようなタッチのメダリオン文様絨毯など、実に特徴的な絨毯を手がけています。
現在におけるハギギ工房の名声は、このフェイゾッラー ハギギによって受け継がれてると言っても過言ではありません。